データ復旧事例

起動できなくなったNAS用ハードディスク(DT01ACA300)からのデータ復旧(物理障害　広島県呉市　建築関連業)

投稿日：2023.09.19 更新日：2023.09.19

メーカー：東芝製
型番：DT01ACA300
症状：起動できない
障害：物理障害
費用：69,800円 (税込65,780円)～
期間：5日程度

※オプション料金別

お客様より

LS410シリーズのNASで使用していたものです。昨日までは正常に使用できていたのに、今日の朝から使用できなくなってしまいました。ケースから取り出してUSBのケーブルでパソコンに繋いでみましたが、パソコンが固まって何もできなくなってしまいます。仕事で使用しているエクセルやワード、PDFや写真のデータが重要です。データ量は2TBほどあったと思います。

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診断の結果

専用機器にてハードディスクの初期診断を行ってみたところ、起動や認識というところまでは問題なく行うことができました。制御情報へのアクセスを行った際に挙動が非常に不安定になりつつも、何とか情報を拾い出せる状態で、データ領域内へのアクセスを行ってみると、アクセス開始時から大量の不良セクタが見つかってきたため、物理障害での対応を行うことにしました。

復旧作業にチャレンジです

データ復旧専用機器にてハードディスクのクローン作業を開始したところ、読み込み開始から全体領域の5%ほどを読み出しているところまではほぼ不良セクタという状態でしたが、それを過ぎたところから一定の周期で不良セクタがなくなることはありませんでしたが、安定してクローン作業を行うことができ、全体領域の94.5%程度を取得することができました。作成したクローンディスクのデータ領域内へのアクセスを行ってみると、本来であれば5つほどのパーティションを読み込むはずなのですが、読み込みができたパーティションが一つだけで、データが保存されている領域のパーティションだけでした。読み込めたパーティションフォルダやファイルの存在が確認でき、確認できたデータ量を計測してみると1.2TB程度しかなく、伺っているデータ量よりも少なかったため、解析作業を実施して確認できたデータの一時確保を行ったところ、2.2TBほどのデータ量となりました。エクセル、ワード、PDFファイルをそれぞれ30ファイル選択してオープン確認してみたところ、エクセルで30ファイル中28ファイル、ワードで30ファイル中27ファイル、PDFファイルは選択した30ファイルすべて開けることを確認しました。

復旧作業の結果

データリストを作成してお送りし、お客様へ作業完了の報告を行いました。一部のフォルダ構成が破損し、データ確認が容易に進められないとのことでしたので、優先度の高いフォルダやファイルの名称をうかがって、一時取得データ内を検索し、オープン確認を実施しました。指定いただいた10フォルダ内のファイルをランダムに選択してオープン確認を行ってみたのですが、いくつかのファイルで破損は見つかったもののとりあえず取得できたデータで何とかできそうとのことでしたので、復旧成功と判断をいただくことができました。納品用媒体へデータの移行を行って復旧データとしてお渡ししました。

担当技術者より

クローン作業での不良セクタの発生パターンとして、特定のディスク上に傷が入ってしまっている可能性が高かったです。ハードディスクにデータが書き込まれる場合、一定の周期でデータが書き込まれるディスク面が変わるため、傷が入っているディスク面のクローン作業を行わずにデータ復旧を行おうとすると、著しく復旧成功率は下がるため、ヘッド破損が発生しない程度に負荷調整を行ってクローン作業を行うことが必須になります。本来であれば数時間で完了できるクローン作業ですが、障害状態によっては多少のお時間をいただく場合もあります。できる限りすべてのデータを復旧させるための作業となるためご理解をいただきますよう、お願いいたします。